セルモーターとは何か?
セルモーターとはエンジンを始動するための電動機です。
エンジンの内燃機関は吸気・圧縮行程が基本となりますが、始動時はフライホイールやシリンダーの慣性力がないので外部から何らかの力を加えて吸気・圧縮行程をスタートできる状況にする必要があります。
この吸気・圧縮行程をスタートできる状況に電機の力で整えてくれるのがセルモーターなのです。
セルモーターは電気を流すことで大きなトルクを生み出すことができる小型のモーターになるのですが、劣化やメンテナンス不足が発生してしまうとこのトルクが低下してなかなかエンジンがかからない状態になってしまいます。
ちなみに、このセルモーターとは和製英語で、そのまま海外に用いても通じません。
セルモーターのオーバーホール方法について
なかなかエンジンがつかない場合はセルモーターのオーバーホールで解決することがあります。
このオーバーホールに必要な工具はラバープロテクタントとパーツクリーナーと接点復活剤と真鍮ワイヤーブラシ、そしてスパナやレンチやドライバーといった工具一式、汚れても問題ない服装やゴム手袋となっています。
これらを用意できたらセルモーターに付いているボルトを緩めて磁石カバーを外し、掃除するところからスタートしましょう。
セルモーターのボルトは固着していることが多いので、潤滑剤を使って作業することを推奨します。
次はカバーを外してコイルを引き抜き磁石カバー・コイルモーター・台座の3つに部品を分けましょう。
バラバラにしたこのパーツをきちんと清掃してください。
特に、コイルモーターのカーボンブラシの接合部分が真っ黒になっている事が多いのでこの部分をパーツクリーナーや接点復活剤でピカピカにしてあげてください。
磁石カバーはゴムシール部分にパーツクリーナーがかからないように気をつけながら綺麗にして接点復活剤を使います。
そしてゴムの部分はラバープロテクタントをして密閉性を高めましょう。
台座の部分にはねじがされているので、そちらを外して金属部分の清掃後には接点復活剤を使いパッキン部分にはラバープロテクタントを使ってください。
組み立てにおける注意点
セルモーターを組み立てるときの最大の注意点が台座を掃除するときに外したねじに付随しているカーボンブラシです。
カーボンブラシを止める金具の向きは必ず外側を向くようにしましょう。
カーボンブラシを止める金具の向きが中央になるとショートしてセルモーターが死んでしまいます。
これでは掃除やメンテナンスをした意味がゼロです。
また、カーボンブラシを止める場合はクリップで銅線を挟むと作業がしやすくなるのでクリップも用意しておきましょう。
それだけで作業効率がかなり上がります。
セルモーターの寿命について
セルモーターの寿命は10万~15万kmと言われており、人によっては交換することなく新車へ乗り換えていたという人も多いでしょう。
ただしアイドリングストップが多いという人は10万km以下で寿命になるケースもあるので注意してください。
また、バイクのセルモーターは自動車と比べると寿命がかなり短く3~5年となっていますので、車よりもバイクに乗ることが多いという人はセルモーターのオーバーホールを経験する確率も高くなります。